⭐️原因と結果を逆に見ると見えてくる、人の行動の本当の理由              行動分析学(ABA)パート3

応用行動分析(ABA)の「消去バースト」とは?

〜行動が減る前に一時的に強くなる現象〜
今日はABA(応用行動分析)の中で非常に重要な現象、「消去バースト」についてお話しします。


⭐️消去とは?

まず「消去(extinction)」とは、これまで強化されてきた行動に対して、強化を与えないようにすることです。
たとえば、子どもが泣くとお菓子をもらえていたのに、それをやめる(泣いてもお菓子を与えない)と、その泣き行動はだんだん減っていきます。


⭐️消去バーストとは?

ところが、消去を始めるとすぐに行動が減るわけではありません。
むしろ一時的に、その行動が強く・激しく・頻繁に出る現象が起きることがあります。これを 「消去バースト」と呼びます。

👉 ポイントは、「行動が強まったから効果がない」のではなく、むしろ消去が正しく働いている証拠だということです。


⭐️具体例

例1:泣いてお菓子をねだる

  • これまで:泣けばお菓子がもらえた
  • 消去開始:泣いてもお菓子を与えない
  • 最初に起こること:泣き声が大きくなる、長時間泣く、床に寝転んで暴れる
  • その後:徐々に「泣いてももらえない」と学び、泣き行動は減っていく

例2:授業中に騒いで注目を得ていた

  • これまで:騒ぐと先生や友達が反応してくれた
  • 消去開始:騒いでも反応しない
  • 最初に起こること:もっと大きな声を出す、机を叩く
  • その後:周囲が一貫して無反応を続けると、徐々に騒ぎが減っていく

⭐️ 消去バーストの特徴

特徴説明
行動が一時的に増える今まで通りの強化が得られないため、子どもは「もっと強くやれば手に入るかも」と試す
感情的反応が強まる泣く、怒る、叫ぶなど感情的な反応が一時的に強く出る
新しい行動が出ることも叩く、物を投げるなど別の行動に発展することもある
継続で減少する一貫して強化を与えなければ、やがてその行動は減少する

⭐️ 対応のヒント

  1. 一貫性が大事
    一度でも強化を与えてしまうと、「やっぱり泣けばもらえる」と学習してしまい、かえって行動が強化されます。
  2. 安全に配慮する
    消去バーストでは強い感情的行動が出やすいので、子どもの安全・周囲の安全を守る工夫が必要です。
  3. 代替行動を強化する
    「泣かずにお願いする」「手を挙げて発言する」など、望ましい行動が出たときにはしっかり褒める(好子出現の強化)。
  4. 記録をつける
    行動が増えても「消去バースト」とわかっていれば不安になりません。頻度を記録して、減少傾向を確認すると安心できます。

⭐️ まとめ

  • 消去バーストは「行動を減らそうとすると一時的に増える」自然な現象。
  • 一時的な増加に惑わされず、一貫して強化を与えないことが大切。
  • 同時に望ましい行動を強化していくことで、子どもは「正しい方法」で強化を得られるようになります。

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